2025年10月30日の金融政策決定会合後に記者会見で植田日銀総裁が、
「食料品価格の動向は特に家計の短期のインフレ期待には強い影響を与える。ただ家計の中長期のインフレ期待や、その他の主体の中長期のインフレ期待は、食料インフレにつれて上がっている状況ではない。
ただ食料品価格上昇のインフレ期待への波及については注意していきたい。いずれインフレ期待が上がる場合もあり得るし、食料品価格が高いことが消費にマイナスの影響を与えて逆向きの影響を作り出す可能性もあるので、両方注意していきたい。」
とコメントしてました。これが日銀総裁の「最新インフレ観」のようです。
私も日々生活していて「食料インフレ」を強く感じます。あとラグジュアリーの「旅行関連」でインフレを感じますが、それ以外では日銀総裁の指摘するようにそれほどでもありません。
ですが、最近、日経新聞で「都内では高値でも借り手が見つかるため、オーナーによる強気な家賃設定が続いている。都内のある単身者向け物件では、オーナーが2000円ほどの値上げをしたところ入居者が更新を見送った。ただ再募集時に以前より2万円ほど高い値段を設定しても、すぐに新しい借り手が見つかったという。」という記事が掲載されてました。結構すごい話です。
こういう形によって「家賃インフレ」が進むと、人々のインフレ期待にも大きく影響を及ぼしそうです。商業用不動産の家賃インフレは外食や物販など様々な波及効果が想定されます。
また新政権が円安方向に政策を進めると再び輸入物価にも影響が出そうです。私はそろそろ予防も兼ねて日銀は「追加利上げ」に踏み込んでいくのかなと考えてましたが、今回は見送られました。
別記事では「日本の家計はマクロ的に見れば、資産が負債を圧倒的に上回る。資産保有世帯は金利上昇ショックに消費増加で反応する。一方で、金融資産は偏在している。マクロ的には利上げが消費をサポートしても、格差拡大につながりやすいことは否めない。」ともありました。
以前(記事はこちら)も書きましたが、日銀の政策金利は非常に広範囲に影響を及ぼすので、簡単な話でないのは重々承知ですが、食料インフレで消費にマイナスになるシナリオより今後インフレが他に波及するシナリオの方を、最近の株式市場は示唆しているように私には思えますね・・・

