2024年4月に日本語版が発行されてます。原題は「BULLY MARKET My Story of Money and Misogyny at Goldman Sachs」です。
数学を専攻したイタリア系の白人女性が、コネも無く入社しした「ゴールドマン・サックス」(アメリカの投資銀行の最大手の一つ)での18年間を語ったノンフィクションです。
年に一度のボーナスの為に、いかに自分を評価する権力者の価値観と同化するか、が求められるアメリカの投資銀行大手の「文化」がこれでもかと詳細に具体的に記載されています。
読み進めると、多様性や個性の尊重とは真逆の、一部白人男性(ボーイズ・クラブ)の画一的で非人間的な側面がここまで企業を支配しているのか、と驚きます。それを巨額のサラリーとボーナスで、黙って社員に受け入れさせる「洗脳」のやり方が、新興宗教やマルチ商法に近いようにさえ思えます。
私も30代の頃、ゴールドマン・サックスなどの投資銀行アナリストと仕事上の付き合いが結構ありました。その優秀さは分かるのですが、働き方が異常でした。超長時間労働と過度のプレッシャーに耐えながら、ひたすら上司の要求に応えようとする彼・彼女らの姿を見ていて、自分の勤めている会社は比較すると、全然ホワイト・カンパニーなんだなぁと思ったものです。
結局、著者は様々な紆余曲折を経ながら、会社を辞め、4人の子供を持つ専業主婦になることを選びます。ただ、30代初めには、1回のボーナスが軽く100万ドル(約1億6000万円)を超えていたという記述から考えるにもっと早く退職(著者本人は「自由へのスプレッドシート」というのを作ってFIRE出来るかよく確認していたようですが・・・)出来たんじゃないかなとは思いました。
ゴールドマン・サックスのような「資本主義の成れの果て」と思われる企業は、その極端さが面白いですが、働きたいとは全く思わないですね・・・ただ、日本支社で働いていた元も含めゴールドマン・サックスのアナリストは飲みに行くとゴールドマンの話ばかりしてました。きっとよっぽど「洗脳」が上手なんでしょうね。
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