日経新聞朝刊2025年12月25日に、
「現政権の積極財政は「名目成長率が長期金利を上回っていれば、政府債務の国内総生産(GDP)比は発散しない(野放図に膨らまない)」との考えに集約される。これをドーマー条件と呼ぶ。
満たされていれば、基礎的財政収支(PB)が赤字でも債務のGDP比は改善する場合がある。政権がPBの単年度の黒字化にこだわらないのはこのためだ。
カラクリはデフレ型からインフレ型経済への過渡期だという点に隠されている。名目GDPは物価高に敏感に反応して増えるし、税収も伸びやすくなる。
一方、長期金利の上昇が利払い費負担の増大に結びつくには時間がかかる。残存する国債の償還までの年数は平均9年半ほど。表面利率の加重平均は3月で0.83%。日銀の金融抑圧が効いている。
時間がたつにつれ利払い費は膨らむ。専門家によると高成長が実現しなければ2020年代後半、高成長の実現でも2030年代半ばにドーマー条件が成立しなくなると予測する。」
とありました。
少し話が難しいですが、今、日本経済は「ドーマー条件」なるものが成立していて、政府による国債の利払いが相対的に少なくて済む「ボーナス期」にある、という指摘です。
ただ、たとえ積極財政によって高成長が実現したとしても「2030年半ば」迄にはドーマー条件は成立しなくなる可能性が高い、というのが専門家の見方という点がポイントかと思います。
そうなった時に、仮に再び日銀に「金融抑圧」を強いれば「通貨の信認をおとしめ、円安は止まらず、インフレが加速する」という悪夢が実現してしまう可能性が高まる、というわけです。
ここから5年から10年が日本経済にとって非常に大事な局面になるわけですが、やはり「自国通貨価値の維持」は最大の国益だと私は思ってます。それには財政と政策金利の適正化が大切です。
富裕層は「過度の円安でもインフレ加速」になっても困らない対策を打っている人が多いと思いますが、結局そうなると若い人や弱い人にしわ寄せがいくだけなので、全力で避けるべきでしょう。

