日経新聞朝刊2026年2月16日に元日銀副総裁の中曽宏氏が、
「誰もがオールマイティー(万能)だと思っていたドルの信認にひびが入っている。金価格の高騰はその表れだ。
ドルは唯一の基軸通貨と定められたブレトンウッズ体制の崩壊後も長年、その地位を保ってきた。(1)国際秩序の担い手たる米国への信認と政策の高い予見可能性(2)圧倒的な経済規模(3)米国債をはじめ安全で流動性の高い金融市場(4)通貨価値を守る独立した中央銀行(5)皆が使うことで生じるネットワーク外部性――という要因があったからだ。
このうち(1)は失われた。現米政権は高関税政策で自由貿易の旗手の座から自ら降りてしまった。政策は猫の目のように変わり、一貫性も整合性も見いだせない。
債務上限問題に伴う与野党の対立激化などで(3)の米国債市場にも不安が増している。(4)の中銀の独立性も、政権による米連邦準備理事会(FRB)の金融政策や人事への露骨な介入によって脅かされるリスクを市場は意識した。
現政権の発足以降、主要通貨に対する価値を示すドル指数はほぼ一貫して下落傾向をたどっている。それと同時並行で進展したのが金価格の上昇だ。
やや長い目では、米国による制裁でドル建ての金融資産にアクセスできなくなるのを未然に防ごうと、新興国などに外貨準備をドルから金に移す動きが広がっている。
FRB次期議長に理事経験のあるケビン・ウォーシュ氏を指名したのは政権が中銀の独立性が大事だと考えた表れではないか。彼はコミュニケーション能力が高く、FRB内部はもちろん政権との関係もうまく構築するだろう。
だが自国第一の米政権は、有利な資金調達といった基軸通貨が持つ「法外な特権」の恩恵だけを享受し、世界に配慮した政策運営といったコストは負いたくないようだ。「世界の最後の貸し手」としてのFRBによる緊急時のドル供給もコストかもしれないが、ドルの信認と優位性を保つうえでも重要な機能だ。
慣性の効果も働き、ドルの優位性はすぐには揺らがないだろうが、いったん入ったひびはなかなか戻らない。すべては米国の政策次第だ。」
とコメントしてました。やや難解ですが、米ドルの長期リスクを的確に分析していると思います。
ここ数年、日本円が異常に弱いので、米ドルの価値はそれほど毀損していないように感じますが「現政権発足後、ドル指数はほぼ一貫して下落傾向をたどっている」のが実態のようです。
私の現在の金融資産は「現預金(8%)、日本国債(57%)、オルカン(35%)」という構成ですが、オルカンの「60%」が米国株の前提だとすると、米ドル比率は「21%」ということになります。
現在の比率であれば影響は限定的ですが、今後「オルカン」の比率が増えていく計画なので、少し米ドルへのエクスポージャーが過剰かもしれません。このあたりは考慮の余地がありそうです。
ただ、オルカンは通貨分散もしていて、時価総額ベースで銘柄の入替も定期的に行われるので、特に個人で調整せずにオルカンを保持し続けるというシンプルな戦略で良いのかもしれませんが。
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