世界経済の動向を読み取る上で、アメリカの個人消費の動向は非常に重要です(アメリカは世界1位のGDPで、その70%を個人消費が占めます)。
日経新聞を読んでいたら、ウォルマートのCFOが2024年5月16日の決算発表会での「中高所得者層への販売が拡大しており、これまで外食が多かったこの層が自炊に切り替えていることが背景にある」というコメントが掲載されてました。
既に低所得者層向けに強いダラー・ツリー等では、低所得者層の消費の厳しさが表出してました。次は、中高所得者層も安売りのウォルマートで自炊の為の食材等を買うようになっている、というのがアメリカの個人消費の最新状況のようです。当然この背景には「インフレ疲れ」があります。
一方、株高は続いています。アメリカは高いインフレの中でも、特に中高所得者層は、株高による資産効果で消費の強さが続いてきたと思われます。ただし、ウォルマートCEOのコメントにあるように、いよいよそれも限界になってきているのかもしれません。
今までは株高が個人消費を牽引してきたのが、逆回転して、株が崩れると一気にアメリカの個人消費が逆資産効果によってシュリンクするリスクがあるように思います。
また、今の商品相場を見ていると、インフレが簡単に沈静化せず、逆に再燃するリスクさえ感じます。その為、中央銀行は個人消費が崩れても、大幅な利下げに踏み込めない事態になるケースも想定しておきたいところです。
株が先に崩れるのか、個人消費が先に本格的に崩れるのか。どちらが先にせよ、それらが絡み合ってダウンワードスパイラルのような展開になる可能性が少し視野に入ってきたように、ウォルマートCEOの最新コメントからは、感じられました。
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