40代50代事務職の賃上げとFIRE

お金の使い方

日経新聞朝刊2026年2月3日に、

「年金の支給額は毎年4月にルールに沿って改定されている。物価・賃金の動きや少子高齢化の進展を踏まえた調整を行うのが目的だ。
 ポイントは物価と賃金のどちらに沿って見直すか。物価の変動に連動させれば年金の価値を維持する調整になる。だが22年度からは賃金の伸びが物価の伸びを下回った場合に、年金額を賃金と連動させるルールが導入された。
 これにより、実質賃金の低迷を反映する形で24年度からは3年連続で賃金に沿った年金額改定となった。そして、物価上昇率と国民年金改定率の乖離(かいり)幅は、0.5ポイント、0.8ポイント、1.3ポイントと年々拡大している。
 年金の実質的な価値が下がり続ければ高齢者の生活が苦しくなるのは確かだ。だが賃金が伸び悩む状況で年金額を物価に連動させてしまうと、現役世代の負担能力を上回る給付を行うことになる。年金財政は悪化し、そのしわ寄せで将来世代の年金水準が低下してしまう。現状、年金制度の持続性を保つために賃金連動は必要な措置といえる。
 問題は賃金連動ではなく、物価を上回る賃上げを実現できていない点にある。年金生活者を守るためにも実質賃金の増加が必要なのだ。
 実質賃金の低迷は医療や介護の質にも影を落とす。医療機関や介護事業者が物価高で膨らむ経費を賄うには診療報酬や介護報酬の引き上げという「価格転嫁」を実施する必要があるが、賃上げの勢いが弱いと、こうした対応が難しくなるからだ。」

とありました。「賃上げ」が進まないと「公的年金」も「医療・介護」も劣化するという話です。

では、今後日本で「実質賃金」が全体で上がっていくトレンドが実現するのでしょうか?もちろん賃金水準も結局は「需給」で決まりますから、大きく上がる「職種」や「個人」はいるでしょう。

私は「40代50代事務職」の動向が鍵を握ると思ってます。以前(記事はこちら)も書きましたが、ここが「構造的な供給過剰」になっている限り、全体の実質賃金は上がりにくいと思います。

今、一部の出世組以外の「40代50代事務職」は賃上げの恩恵を受けるどころか「インフレの嵐」が直撃して「業務量は変わらない」のに「実質賃金がマイナス」という悲惨な状況だと思います。

実際、企業の主に50代を対象とした「早期退職募集」に応募が殺到しているというニュースを多く耳にしますが、「実質賃金マイナスが今後も続く」と思えば、その行動は大いに理解できます。

40代50代でも資産形成を地道にした人は「割増退職金」を受け取り「FIRE」し、華麗に「投資家」に転職できるでしょう。あとは資金の「リスク管理」をしっかりやれば「主要業務完了」です。

ですが、割増退職金を受け取ったものの再び「40代50代事務職」に転職しようとする人はよっぽどの能力とスキルが無いと「給料増」は期待できない状況だと思います。供給過剰なので・・・

また、出世組以外の「会社に残る人」は足元を見られて「実質賃金マイナス」が退職まで続く悲劇になる可能性も高いでしょう。そんな人々が今の「減税ポピュリズム」に絡め取られてそうです。

本来であれば日本も「金銭解雇の法制化」(記事はこちら)等の「雇用流動化」を進めて、人手不足の分野へ人材移動を進め、社会全体で「賃金」と「物価」の好循環を実現したいところです。

ところが「40代50代事務職」は今のところ供給過剰が解消しておらず、特に500万人とも言われる社内失業状態の人が「会社にしがみついている」構造になっていると思われます。苦しいですね。

もしかしたら、むしろ「更なるインフレ」によって、その呪縛が強制的に解き放たれるのでしょうかね。それを狙い「政府と日銀」は「円安・インフレ」をあえて放置しているのでしょうか・・・

「賃上げ」について考えていたら、少しホラーな想像に行き着いてしまいました(苦笑)。