日経新聞朝刊2025年2月3日に、
「韓国の現代自動車グループがロボットの活用を急ぐ。米国の工場で2026年内からヒト型ロボットに様々な作業を任せ、車の生産コストを大幅に引き下げる計画だ。
人工知能(AI)とロボットをフル活用する。象徴となるのが自律的に動く「フィジカルAI」を活用したヒト型ロボット「アトラス」だ。
26年中に米国でアトラス向けの訓練センターを開設する。作業を覚えたアトラスを早ければ9月にも工場に順次送り込む。28年までに年3万台規模を量産するという。
アトラスは50キログラムの重量品を持ち上げ、精密作業も反復することができる。防水仕様の設計でマイナス20度から、40度といった高温の環境でも稼働する。30年には複雑な組み立て工程にも導入する。自動車工場での作業を1日以内に覚え、導入初日から自律して稼働する。自動バッテリー交換により24時間の稼働が可能だ。
サムスン証券によると、アトラスの運用費については初期段階では1時間当たり9.4ドル(約1500円)だが、年間3万台の量産が実現すれば1.2ドルまで減らすことができるという。これは中国の人件費の6分の1の水準だ。」
という記事が掲載されてました。
本当にロボットで「時給1.2ドル」の工場労働が実現したら、真の「AI革命」になりますね。
私は新卒で関東にある工場に配属されたのですが、生産管理担当になった時、自ら志願して工場で実際に1ヶ月現場労働したことがあります(当時は自由闊達でそんな余裕もある会社でした)。
実際に働いてみてビックリしたのは、オペレーター(現場労働の正社員)の生活の豊かさでした。大学院卒のエンジニアがサービス残業をする中で、定時になると高級車に乗って帰宅してました。
ひとりひとり話せば、地元の高校を優秀な成績で卒業したとても良い人なのですが、金銭面では、「年功序列での高い給料」と「交代勤務でおそろしく高い深夜労働手当」を受け取ってました。
「なんでそんなことになるのだろう」と考えたのですが、「押しの強い工場労働者(組合)」と「東大工学部出身中心の良く言えば実直な経営者」の賃金交渉ではそうなるよな、という結論でした。
私も1ヶ月現場労働の後「設備の老朽化と高コストの人件費が続くようでは、この工場の未来は暗い」という「イキった」(苦笑)レポートを工場の幹部に提出したのですが、現場のボスからは憮然としながらも「お前の言うことも分かる」と言われた思い出があります。
結局、その後、その工場は跡形もなく無くなりました。あの時の工場の人達どうしてるのだろう?
「分かれ道は「金銭解雇の法制化」だったかも」(記事はこちら)でも書きましたが、日本の製造業が弱体化した一つの理由は「終身雇用」を前提とした硬直的な労働市場にあったと思います。
「明らかに理数系で日本トップクラスの頭脳を持ち生産性を上げようと必死だったエンジニアの努力を高コストの正社員工場労働者が全て吸い取る」という構造は、継続性が無かったわけです。
しかし「AIロボット革命」で久しぶりに日本の工場の「ターン」が到来したのかもしれませんね。本当に中国の人件費の1/6なら十分戦えますが、AIも中国がだいぶリードしてそうだな・・・
