週間東洋経済2025年12月20日に経済学者の岩井克人氏が、
「現在まで続いている産業資本主義では、お金を持つものが圧倒的に優位であった。お金さえあれば、工場を建てられる。自分で建てられなくても、工場の株式を買えばいい。株主主権の提唱だ。
ところが、ポスト産業資本主義では、知的な創造性を持った人間しか差異を生み出せないので、人間の時代が戻ってくるのではないかと私は希望は抱いてた。しかも、人間はお金では買えない。
お金で買えない創造的な仕事を人間にしてもらうことが、ポスト産業資本主義で、お金それ自体は力を持たなくなり、人間が力を取り戻すと私は楽観していたわけだ。
それにNOを突きつけたのが、生成AIの登場だ。製薬やゲーム設計、定理の証明まで、AIは差異を作り出せることを証明しつつある。AIはコンピューターモデルで、モノだから、お金で買える。
しかも、スケールの法則が正しければ、お金を投入すればするほど性能が上がる可能性がある。これは、産業資本主義の悪夢の再現だ。私の資本主義論は危機にさらされている。」
とコメントしてました。資本主義論の大家である岩井克人氏がAIの出現で苦悩してるのですね。
岩井氏がずっと唱えてきた人間の創造性だけが差異を生み出す「ポスト産業資本主義」の時代はAIの出現で実現せずに終わるのでしょうか。それはつまり「r>g」の時代が続くことを意味します。
以前(記事はこちら)も書きましたが、FIRE民はオルカンなどを保有継続すれば、間接的に「AI関連資本の所有者」なので、岩井氏の指摘する悪夢が実現しても、影響は限定的かもしれません。
ただ、より激しい「r>g」の時代到来は、格差が拡大し分断が進み、社会の不安定化が加速する可能性も高そうです。そんな時代でも私の愛する「平和な東京」は維持されるのでしょうかね・・・

