日経新聞朝刊2025年12月12日に渡辺安虎・東大教授が、
「インフレのコストがどのように負担され、その負担が人によってどう異なるか。
商品レベルの分析では、安価な商品ほど値上がり率が高いといわれる。安価な商品は原価に占める原材料費の割合が高いことで値上がりしやすく、セールの頻度や割引率も低いとされる。また高所得者向けの商品ほど新商品開発が多く競争が激しいため、その結果として価格上昇が抑制される。一方、安価な製品群は新商品が少なく競争が停滞しており、価格上昇が抑えられにくいという研究もある。
その結果、高所得者は必要に応じて安い商品に切り替えることもできるだろう。しかし、もともと安価な商品を買っていた低所得者が、より安い商品に切り替えることは難しく、逃げ場がない分負担はより大きくなる。
一方、インフレ負担に関して政治的に議論されないのが「インフレ税」だ。インフレ税とは、インフレによって国の借金の実質的な価値が減ることで、現金や国債の保有者が持っている「富」が、実質的に政府部門へ移転されることをいう。
インフレ税は現預金や国債などを多く持つ人がより多く負担し、住宅ローンなど固定金利での債務を持つ人は負債の実質価値減少の恩恵を受ける。富裕層は不動産や株といったインフレの影響を受けにくい資産を持つため影響は軽微だろう。」
と書いてました。
結局『インフレ負担は「経済的弱者」や「持たざる者」に集中する』ということですね・・・
アメリカがで特に顕著な「経済格差」の拡大は、分断や混乱から始まり、歴史的には戦争や暴力革命に行き着きます。影響の少ない富裕層もいつまでも無関心ではいられないとも言えます。
日本でもインフレが本格化してます。また、最近の金利や通貨の動きを観察していると、日本の財政への信任が更に落ちているいると感じます。今は「財政規律」を重視すべき、と私は思います。
政府や日銀がいかにインフレに対応するのかは「平和な東京」で生活を続けたいFIRE民の私にも影響がかなり大きいので、財政や政策金利の動きを今後もよく注視したいと思います。

