日本が財政再建に本気になる時

お金の使い方

日経新聞朝刊2025年11月26日の経済教室で服部孝洋・東京大学特任准教授が、

「財政再建の議論が日本で盛り上がらないが、私見では長期金利が上昇しないことが大きい。思えば2000年代から日本の債務残高や金利急騰が問題視され、日本の財政が破綻するという議論がなされてきた。
 しかし長期金利はその後、低位で推移してきた。近年、上昇傾向にあるが、現在も実質金利はマイナスであり、財政再建の議論が盛り上がらないのは自然ともいえる。もちろん市場の先行きは予測できないため、金利急騰時に備えて保守的な財政運営をすべきという見方にも納得できる。
 日本の金融市場の空気は何かをきっかけに一気に変わる。かつては円高が悪いと指摘されていたが、近年は円安の副作用の方が議論されるようになった。もし日本で財政再建の議論が盛り上がるとすれば、長期国債の金利がインフレ率を超えて十分に高くなったタイミングではなかろうか。」

と書いてました。この指摘、結構「的」を得てるんじゃないでしょうか・・・

現在はインフレ率が「約3%」に対して10年国債金利が「2%弱」ですから、実質金利はマイナスです。つまり「財務省が借り入れをすることで実質的に利益を得ている」と言うことも出来ます。

たしかに、それでは政治的に「財政再建」に真剣にはならないのかもしれませんね・・・

私は、かつての民主党の「事業仕分け」が大して成果を上げなかったことからも、日本の行政において、もはや大きな無駄というのは存在していないと思ってます。行政改革は飽和状態でしょう。

なので、突き詰めると「社会保障の持続性をどうするか」という最大の課題を解決するには「消費増税」しかないというのが、私の意見です。積極財政ではなく財政規律を優先すべき局面です。

それにより、財政再建が進み、通貨価値が保たれ、物価が安定し、治安維持(軍事や警察)・インフラ整備などの重要案件にも予算が確保され、社会の閉塞感も緩和されると思ってます。

しかし「追い詰められないと真剣にならない」ならば、更なる長期金利の急騰を待つ必要ありそうです・・・その際には「超緊縮財政」と「大増税」という大きな痛みが待ち受けてますが・・・