「渇愛ー頂き女子りりちゃん」(宇都宮直子著・小学館)という本を読みました。
この手のノンフィクションは、共感はほぼできないものの、そこで描かれる「人間の多面性」が私には興味深いので、よく手に取ります。
今回は歌舞伎町の「ホス狂い」で「おぢ」から総額「1億5000万円」を搾取し、その手法の「マニュアル」まで販売して、「詐欺罪」で逮捕された当時25歳の渡邊真衣(りりちゃん)の物語。
本では正直「なんのこっちゃ」という内容が続くのですが、その中で私が興味深かったのは、
「りりちゃんに「どんな人からお金を引きやすいの?」と聞いたら「借金しやすい人」と即答。なぜかというと「そういった人は、借金することやお金を集めることに抵抗がないから、お金を生み出す力があるし、必至になる」って。
確かに私の周りでもお金持ちの人って財布のヒモは固いし、ケチで女のコにお金を渡してくれたりしないんです。
でも「愛されたい」という気持ちが強かったり、恋愛に向いておらず、経験も少なかったりする人だと、簡単にお金を出しちゃったりとか、借金してまでその人を支えたいと思うんですよ。」
という歌舞伎町のバー経営者(女性)のコメント。
ホス狂いの女性がホストに搾取され、その女性は「借金しやすい恋愛に向いていない男性」を搾取し、ホストもホスト経営者らに搾取される、という謎の生態系が歌舞伎町にはあるようです。
「金持ちはケチ」というのは、別の言い方をすれば「合理的」(だから金持ちになれた)わけで、逆にこの本のような合理性からかけ離れた世界は、経済的にも精神的にも大変そうです。
「りりちゃんは、幼少期から親子関係に恵まれず、常に「自分に振り向いてほしい」「自分に強い感情を持ってほしい」と愛情に飢えていて、その抱える寂しさや満ち足りなさに、社会に対する絶望や復讐心が加わってしまったことでこの事件は起きたのではないだろうか」
という著者の分析で締めくくられてますが、この事件の判決は「懲役8年半」という人生で大事な「20代から30代の時間」の大半を奪われるという、取り返しのつかない哀しい結末でした・・・


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