希望格差社会とFIRE

お金の使い方

「希望格差社会、それから)(山田昌弘著・東洋経済新報社)という本を読みました。

「現代日本では、格差は広がるだけなく、固定化し、経済的に行き詰まりをみせている。
 しかし、様々な意識調査で、近年むしろ人々の生活満足度は上昇している。
 特に格差拡大の被害を最も受けているはずの若者の幸福度が上昇している。
 その秘密は、人々がリアルな世界ではなく、『バーチャル世界』で満足を得る方法を見いだすようになったからだと著者は考えている。」

とありました。「バーチャル世界」とは、「ペット」「推し活」「パチンコ・ギャンブル」「ゲーム」「キャバクラ・ホストクラブ」などを指しているとのことです。

著者は、今の日本人の一部は、「努力しても報われない」リアルな世界より、「疑似仕事」「疑似恋愛」「疑似家族」を実現できるバーチャルな世界で幸福感を得ている、と分析し、

これは、従来「宗教」(キリストが貧しい人は天国に行けると教えたり、ヒンズー教で輪廻転生により現世での苦しみは来世に解消される、等)が担っていたものを、現代は「バーチャル世界」が代替している構造になっている、という仮説を立ててました。

少しホラーな印象ですが、「宗教」から「バーチャル」に現実逃避先が変わってるんですかね・・・

また、著者によれば、日本は失業率も低く、選ばなければ仕事が見つかり、今のところ豊かな時代の遺産が残っているので、現世に絶望した人が、原理主義的新興宗教に走ったり、秋葉原連続殺人事件のような犯罪を起こしたりすることも、欧米諸国に比べれば少ないのが特徴だそうです。

そして「日本社会は世界の中で、経済的には、徐々に衰退していくとみている。社会は分断され、大きな経済的発展はなく、少しずつ生活水準が低下する」という著者の見立てが書かれてました。

その背景として「現代の日本人は、何よりも自分だけ損することを最も嫌う。みんな少しずつ貧しくなるのであれば、多くの人は不満をもたないだろう」という仮説があるとのことです。

「自分だけ損したくない」ですか・・・他人と比較しても意味ないとは思いますが・・・

考えてみると「FIRE」は、そんな現代日本で「個人」が出来る、静かに豊かに暮らす為の、数少ない「カウンターパンチ」なのかもしれませんね・・・


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