Music Magazine2026年2月号でミュージシャンの坂本慎太郎が、
「最近の現実社会のヤバさの加速は、やっぱりトランプ以降の現象なんでしょうね。そういう状況の中で正気を保つということが自分の中でテーマになっているかもしれませんね。
昔は何か作るときに、狂えば狂うほどすごい、みたいな価値観がありましたけど、今思うと、あれって世の中の基盤がしっかりしていたからこそできていたことだと思うんですよ。
若い時はヤバい奴ほどヤバい音楽を作れると信じてたけど、今はヤバい奴は単にヤバい奴じゃないですか。そうするともう、正気を保つにはまともになるしかないですよね。
力を注いで一生懸命何かに取り組んで、自分をなるべく見失わないように。」
とコメントしてました。小説家の平野啓一郎と同じこと(記事はこちら)を指摘してますね。
私も19歳(おそらく人生で最も音楽が美しく聴こえた歳)のベストアルバムは、Pixiesの「Surfer Rosa」とMy Bloody Valentineの「Loveless」でした。2つとも1990年前後の作品です。
どちらも狂気に満ちた美しい作品で、果てしなく聴き返しました。特に「Loveless」は40代のあまり順調では無かった時期の自分にもとてもやさしく、轟音に包まれた甘美なアルバムでした。
ところが、今は聴き返そうとはあまり思えないのです。最近はクラシック(特にバッハ)を最もよく聴き、古い小説を読み返す生活になりました。また、SNSに接する時間を極小化してます。
それは自分でもなぜだか分からなかった(歳を取ったせい?)のですが、「今の現実社会で正気を保つ」ための本能的な自己防衛だったのかもしれません。今の現実のヤバさは直視不能です・・
残念ながら、当面はこの「ヤバさ」は続きそうなので、芸術や音楽の力を借りて「正気を保つ」努力を続けようと思います。それにしても、すぐれたアーティストは言語化がとても上手ですね。
そんな坂本慎太郎の新アルバムは2026年1月23日にリリース予定だそうです。アルバムには「脳をまもろう」なんて曲もあり、彼がどのように「今」を表現しているのか、とても楽しみです。

