現代美術館の「小宇宙」

お金の使い方

私はだいたい年1回は、清澄白河の「現代美術館」に通っているのですが、その常設展の最後の部屋に展示されている宮島達男氏の作品「デジタルカウンター」がとても好きです。

赤色のLEDで敷き詰められた1728個のデジタルカウンターがそれぞれ異なるスピードで1から9まで点灯し、一度闇になった後、再びカウントを繰り返す、それだけと言えばそれだけの作品です。

今回の作品解説には「急ぎ足で進む数字があれば、ゆったりと時を刻む数字もあります。そうした個体差を見ていると、カウンターひとつひとつが個人の時間の流れで、その全体が集合としての世界や宇宙であるかのように見えてくるかもしれません。この世のあらゆるものが発生と存在、そして消滅を繰り返します。それは永遠でありながら、ひとつひとつは固有の速さで、その時その場所での時間を刻みます。この空間で繰り返し変化し続ける数字は、幾度となく巡る生の営みと同じように見ることもできるのではないでしょうか」とありました。

個人的に現代美術はあまり好んでは鑑賞しないのですが、現代美術館の常設展3階のこの作品だけポツンある広い部屋は、別格に好きで、いつも10分以上は椅子に座って呆然と眺めてます。

何度か観ているうちに「小宇宙」や「無常観」を感じるようになり、それ以来、心が落ち着くのが不思議なところです。今回は部屋に自然光を取り入れるバージョンでそれも心地よかったです。

この作品、なんと1998年からずっと現代美術館に展示されているとのこと。解説には「作品の見え方が変わってきたという方もいるのでは」ともあり、ぜひ今後も長く展示してほしいですね。

ちなみに現代美術館の常設展の入場料は500円で、平日だと空いてて、概ね一人で鑑賞できます。