日経電子版2025年4月27日の「リタイア後はどこで暮らす?田舎暮らしとFIREのリアル」(記事はこちら)に、
「数年前、非常にはやったFIRE(Financial Independence, Retire Early =経済的な自立による早期リタイア)ですが、最近はあまり聞かなくなりました。理由は簡単、インフレのせいでそれまでの前提だったロジックが崩れたのと、人間は社会的な生き物であり、お金のためだけに働いているのではないからです。
そもそも人間がなぜ働くのかといえば、お金を稼ぐ以外にも「人に認められたい(承認欲求)」「人の役に立ちたい」「仕事を通じて人や社会に関わりたい」「新しい何かに出合いたい」という根源的な欲求があるからです。承認欲求にしても、SNSに「映え写真」をアップして「いいね」を集めるような瞬間の栄光ではなく、仕事の上で何かの専門家になったり資格を取ったりして、「この分野ではとうていあの人にはかなわない」と認められる方が、喜びが大きいですよね。こうした欲求があるから人間社会が発展してきたわけで、多くの人は、少しくらいお金が貯まったからといって毎日家で1人で遊んでいる生活には耐えられないのです。」
という一文がありました。正直、FIRE実行者としてはかなり違和感のある内容でした・・・
おそらく「FI」(Financial Independence)は、インフレ時代になったから難易度が上がったというわけではなく、もともと難しいというが実態ではないでしょうかね。
仮に金融資産「1億円」がFIREに必要だとして、実際に日本で金融資産「1億円」を保有する世帯は約165万世帯(記事はこちら)。つまり全体の3%以下でその多くが高齢者世帯です。約97%の世帯は生涯金融資産「1億円」には届かないというのがリアルな状況と言えます。
なので、FIREはインフレになって難しくなったわけではなく、もともとごく少数派のライフスタイルなのだと思います。インフレというより株高でブームになっただけというのが私の理解です。
もう一つの人間は社会的な生き物であり、「承認欲求」があるから仕事(サラリーマン)を続けるべき、というのはどうなんだろう?私にはピンとこない主張でした。
人間に「承認欲求」があるのは否定しませんが、サラリーマンとして満たせる承認欲求が人生に必須だとは私は思いませんね。人事評価についても多くの場合、上司の好き嫌いで決まっているのが不都合な真実のように思いますし、「自分はこの会社に必要不可欠な存在」と当人が思っていてもサラリーマンにはいくらでも代替がいるというのも、これまた多くの人が認めることではないでしょうか。
それより、FIREによってもたらされる「自由」にはかけがえのない価値がある、というのが実際にFIREした私の意見になりますね・・・

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