社会学者ジグムント・バウマンは、1980年代以降に社会が「リキッド・モダニティ(液状化した近代社会)」に突入し、様々な従来の秩序が崩れ、人々が幸福を手に入れるのが難しくなっていると指摘しています。
確かに日本社会もそのあたりで、バブル経済崩壊や失われた30年への突入などの大きな転換点を迎えて、サラリーマンとして終身雇用されるなどの従来型の幸福像が大きく変化したように思います。
バウマン自身は、古代ギリシャのセネカの「もし、あなたが本性に従って人生をかたちづくるならば、あなたは決してみじめにならない。もし世間の人々の考えに従うならば、あなたは決して豊かにならない」という言葉を引用して、本来の幸福のありかたを提起してます。
でも、「自分の本性に従って人生をかたちづくる」というのは、結構難易度が高いですよね・・・実際に「本当の自分」を確立し、自分自身でそれを正確に把握できている人がどれほどいるんでしょうかね・・・
私もFIREしたことで、サラリーマン的な価値観から離れ、「本当の自分」を少しずつ発見する日々を過ごしています。ただ、それはサラリーマン時代に出来たか、と言われれれば、難しかったのではというのが正直な気持ちです。
自分の本性に従って人生をかたちづくる為には、やはり経済的自立とそれに伴う自由が必要なのではないかと感じざるを得ません。そして現代社会でそれを実現する難易度を考えると、やはり「現代人は幸福から遠ざかっている」というバウマンの指摘は妥当なのかなと感じます。
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